「この子の髪の毛、いちど、
ぜんぶ剃ってもらえませんか?」
と言って、若いお父さんお母さんが、ご来店なさいました。
・・・・・髪の毛の細い赤ちゃんは、
剃ってやると太くていい毛になる。・・・・・
昔からの言い伝えには、ただの迷信もあるものですが、
これも、その類のものと思われます。
一度も切ったことのない毛(胎毛も含む)は、先端に行くほど細く尖った形状をしているものです。なかには毛が細い赤ちゃんもいるのですが、まだ散髪をしたことのない赤ちゃんの毛は、頭全体がそうした毛に蔽われているので、フワフワとして実状より細く見えるものです。
「剃ると毛が太くなる」というのは、恐らく、剃ることで、毛の根元の部分が、新たな毛の先端になり代わるので、毛先が尖っている時よりも太い感じがするだけなのです。
脱毛による薄毛は別ですが、赤ちゃんは成長とともに毛が太くなっていきますから、そんなに気にしなくてもよいのです。
それより、赤ちゃんの頭に剃刀を当てる行為自体の方が、ひどく危険だと、私どもでは考えます。万一傷つけて、細菌の感染などがあれば、・・・・・。「想定外」などと言い訳はできません。 頭は大切な場所。大人の頭を剃るときも、プロなら、とても慎重に処理するのですが、赤ちゃんの頭は頭蓋骨(前頭骨、頭頂骨、後頭骨)のつなぎ目の隙間が塞いでおらず、いわば、完全に防護された状態ではないのに加え、本能のままに動く「悪条件」を考慮すれば、・・・・・、
赤ちゃんの頭を剃ることに、全く価値はない、と考えています。
(11月22日)