「スワヒリ語けぇ~?」
あれは、大学3年の夏休み。
京都の友人と和歌山の友人が
出雲に来た。
あちこちと観光地を散策して、
帰宅の道すがら小休止。
医大通りのケーキ屋さんに立ち寄り、
コーヒーとケーキのセットを注文した。
隣のテーブルには、
5歳くらいの女の子と
その祖父母とおぼしき3人がいて、
ちょうど注文したモノが運ばれて来た。
女の子は店員が目の前に置くとすぐ、ケーキを食べ始めた。
その直後、祖父らしき人が発した言葉に、ワタシの二人の友人が凍りついてしまった。
祖父;「マカラガッ」
祖母の言葉が容赦なく続けられた。
祖母;「サマカラゾッ」
友人二人はあまり喋らなくなったが、祖父母と女の子が店を出ると、
ふだん通りに饒舌に戻って行った。
京都の友人はスワヒリ語のたぐいかと思ったらしい。
「いただきます」
「どうぞ、おあがりください」と解釈していた。
途中でおじいさんが
「通販にスズメを頼むぞぉ。刺身だけん、ごっつぉだわぁ」と言ったら、
「やっぱ、刺身でトライだねぇ。」と、おばあさんが応酬し、
「今は、皮が美味いげな。」と締めくくったときには、
カルチャーショックで気を失いそうだったというのであった。
「マカラガッ」は「おいしいだろぉ」、
「サマカラゾッ」は「そりゃぁ、おいしいことでしょぉ」って意味。
そして、途中、おじいさんが言いたかったのは、
昼御飯にシジミのみそ汁をしてほしいということ。つまり、
「昼飯(ちゅうはん)にシジミを頼むぞぉ。差海だけん、ごっつぉだわぁ。」 (昼ご飯のときにシジミのみそ汁をしてくれよ。差海川のシジミだから旨いよ)
「やっぱ、差海で獲らいだねぇ。」 (いまだに、差海川で獲っておられるのだねぇ)
「今は、川が美味いゲナ。」 (今の時期は、湖より川で獲れたシジミの方が美味いらしい)
という、ほのぼのとした話だったのに、分からんもんは困ったもんですわ。