出雲 二月

子供のころ出雲の2月は、寒かった。

目を瞑って、昔の雪の町を思い出すと

  「シャン、シャン、シャン、シャン」

と音がする。

バスがチェーンを巻いて走る音だと思う。

 

年々、雪が少なくなった。

子供のころは、2月と言えば、雪がよく降り、

「雪」と言えば、2月のイメージだった。

小学2年生の2月に、40㎝の積雪があり、

休校になったことがあった。

その時、玄関先の歩道にかまくらを作った。

 

小学校に通う途中、

大きなつららを見ることもしばしばあった。

いまなら、「不衛生だ」と断じられて終わりだろうが、

透明なつららが、あまりにキレイで、

折り取って、思わず舐めたこともある。

 

或るときは、

つららを舐めながら帰宅した息子の姿を見かねたのか、

父が、試験管に砂糖水を入れて、割り箸を刺して、

積もった雪の中で凍らせて、

「アイスキャンディー」を作ってくれた。

ただの凍った冷たい砂糖水なのだが、

原始的な「知恵の賜物」のようで、

なんとなく美味しかった。

 

雪の中で、肉や魚を保存したり、

プリンやゼリーを固めたり、

雪で煮ものを冷ましたりして、

大人たちも楽しんだ。

    雪に囲まれた家の中は、

      とても暖かい気がした。

そろそろ、2月が逃げていく。

令和8年2月

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