かつらの選び方

かつらの購入理由は、薄毛対策、白髪対策、病気による脱毛のため、薬の副作用による脱毛のため、…など、さまざまです。
そしてその原因も様々です。

たとえば、脱毛についての私どもの見方を示すと、初めに、大きく、
Ⅰ型…男性型脱毛、
Ⅱ型…老化型脱毛、
Ⅲ型…神経性脱毛、 の三つの型に分類します。

ⅰ…脂漏性脱毛、
ⅱ…粃糠性脱毛、
ⅲ…神経性脱毛、という分類と似ていますが、
実際の現場で、頭皮を見てみると、ⅰとⅱの複合型と思われる場合が多く、見受けられます。

かつらの選び方

もっとも重要なことは「似合う」ことです。

しかし、かつらの購入理由、その他の要素(目的、価格、ライフスタイルなど)も考慮し、最もよいと思われる商品を選びましょう。

例えば、病気治療薬の副作用で脱毛した場合。
投薬治療が終了し、しばらく経つと(時間的個人差がありますが)、再び毛が生えてきます。
でも、いっぺんに元のヘアスタイルに戻るわけではなく、全体が生えそろい、どうにかヘアスタイルが形成できるようになるには、更に期間(毛長6~8cmで約6ヶ月)が必要になります。

つまり、かつらの着用期間は、脱毛が目立ち始めた時点から再発毛までの期間プラス約6ヶ月間ということになります。

Aさん(30歳代・女性)の場合
  • 治療薬の影響で脱毛が始まり、ご来店。数年来ロングヘアスタイルで、ヘアマニキュアも施している。
  • もともと軽いクセ毛で、ストレートパーマをかけている。お医者さんからは、治療が終わるのは5ヶ月先で、その後1ヶ月程度で再び毛が生えはじめる、といわれている。

本人の希望は、「今とあまりイメージが変わらないようなものがいいので、オーダーで作ってほしい」、とのことでした。
が、私どもがお薦めし、最終的にお選びいただいたのは短髪のボブスタイルの商品;FS-10 C-3(人工毛100% 定価37,800円)でした。

選んだおもな理由は、

  1. よく似合っていた(付添いのご主人にも気に入っていただけた)。
  2. 御試着いただいたものの中で、いちばん頭にフィットしていた。
  3. かつらを着ける以前のイメージよりも約1年後にかつらをとった時のイメージ、つまり自毛が6~8cmになっている時のイメージを大事にした(換言すれば、装着時にイメージチェンジして、はずす時点でのイメージのギャップを少なくすることにした)。

Aさんは、洗い替えも欲しいとおっしゃいましたが、まず一つ使ってみてから二つめをお考えいただくよう、お願いしました。

Bさん(70歳代・女性)の場合
  • 化学療法をすることになり、医師から脱毛すると言われた。

特注すると25~30万円かかるので、既製品を勧めましたが、
「治療が終わって再び発毛し、髪が伸びても、かつらを使おうと思うのでいいものを作ってほしい」、「ふだん、1年で20万円は髪の手入れに使っているから、2年もすれば、費用は気にならない」、と特注を希望され、さっそく型取りし、作製にとりかかりました。

人毛製(ただし、白髪は人工耐熱毛)。価格は、268,800円で1ヶ月後に出来上がり、後日装着。

Cさん(85歳・男性)の場合
  • 化学療法により、脱毛。「すぐ欲しい」

全頭型の白髪90%既製品は女性用として作っておいたモノ(ST-104MONO W-90 人工毛100% 定価;136,500円)を試着してみるとサイズが合っており、「きつくもなく、ずれることもない」とのこと。その場で、ウェーブを軽くし、頭頂部を中心に多めにカット。毛流を左から自然に分かれるように修正し、完成。

選んだ理由

  1. 緊急性
  2. 白髪の割合
  3. 天頂部の特殊ネットにより、分け目が自然に見えるため、年齢に合わせて、毛量を少なくできる、などです。

Dさん(60歳台・女性)の場合

  • 本人いわく、「2か月前に、毛染めをした後、かぶれ、かゆみを伴い脱毛。額の生え際から上の方(頭頂部)にかけて薄毛になった。上にちょっと乗せるようなかつらが欲しい。」

まず最初に、頭皮、毛髪の状態を観察させていただきました。一見、私が気になったのは、頭に数か所2㎝ほどの髪が生えてそこだけ黒っぽく見える個所があることでした。

病院で血液検査の結果、免疫疾患によるものではないことを確認。今までの経験上、神経性脱毛の一種(頻発性・不定形の円形脱毛)が、染毛剤の化学的刺激により惹起されたようにも思えることを伝えました。

もしそうなら、どの部分が脱毛するかわからず、全頭タイプのかつらをお奨めするし、また再生して頭頂部の薄毛が治ったら、部分かつらが無駄になるので、「しばらく様子をみてかつらのことを考えましょう」と説明。

帰り際にマイクロスコープで頭皮と毛髪の状態を見てみると、頭皮はきれいで、すでにかぶれは治っているようですが、右後頭下部の毛髪が簡単に抜けるので毛根付近を拡大してよく見ると、毛根から1.5㎝あたりまでの形状に、ちじれ、扁平化を発しているため、神経性脱毛の可能性が高いこと、その特徴・対処法などをお話しして、その日はお帰りいただきました。

Eさん(70歳代女性)の場合

・天頂部の薄毛、白髪対策のため、ウィッグが欲しい。

Eさんが今までお使いになっていらっしゃったモノは、化繊の部分ウィッグで、ボリュームがなくなっていたので修理して差し上げようと思いましたが、毛長も短くなっており、断念しました。当初は「部分かつらでは似合わないと家族に言われるので、全体にスッポリとかぶる様なモノが欲しい」とおっしゃいましたが、ご本人の自毛はクセ毛でサイド部分から後頭部にかけてかなりボリュームがあるのに、人工毛では上から無理に抑え込み過ぎてしまうために不自然だったと思われたので、人毛100%の部分ウィッグをお奨めいたしました。ベースカットを施して合わせてみると、思った通り、自毛がウィッグの毛を巻き込み、全体が落ち着いた感じになりました。いっぺんに気に入っていただき、即決。私どもにとっては、当たり前のことですが、化繊が似合う髪、化繊の方が使いやすい髪、人毛が似合う髪、人毛の方が使いやすい髪、髪の性質や状態によって、実際装着してみないと分からないことが多々あります。

 

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