「なぜ、シャンプー前にブラッシング?」
私どものサイトをご覧になった女性からFAXで質問がありました。
病気の治療により脱毛したときは、「シャンプー前にブラッシングして、抜け毛を取り除くほうがいいとあるけど、なぜですか?」
今回は、電話でお答えしましたことを、極力専門用語を使わずに、以下に記します。
私の叔母が抗がん剤治療で脱毛したとき、同じようにシャンプーする前にしっかりブラッシングして、除去できる毛はすべて除去するようにアドバイスしておいたのですが、鏡の前に立つと無理に取り除きたくなくなるのが人情。叔母はそのままシャンプーしました。アドバイスした3日後にウチにやってきた叔母の頭には、髪の毛がダンゴのように固まったところが数か所見受けられました。「もつれた髪をほどこうとするけど無理だから、切ってしまってちょうだい。」と頼まれ、その場で断髪式。結局1センチぐらに丸刈りしました。他にもこういうトラブルは何度もありましたが、叔母のもつれは特にひどかったです。
ではなぜ、もつれるのでしょうか。
それは、たぶんにキューティクルのせいだと思われます。言うまでもないかもしれませんが、毛の表面にはキューティクルがあり、これが瓦のように規則正しく重なるように並んでいるので、健康な髪の毛をブラッシングしたとき、滑らかに滑るように櫛どおります。規則正しく並んでいるというのは、毛が毛乳頭(髪の毛と皮膚がくっついている皮膚側を指してここでは毛乳頭と表現いたします)についている状態でのみ言えることであり、毛の根元から先端に向かってブラッシングするから滑らかなのです。では、毛根を離れた毛はどうなるかを考えれば一目瞭然。本来の毛の流れとは違う、あらゆる方向に毛先があり、毛の根元がある状態になります。つまり、キューティクルの向きが無秩序になり、お互いに絡みやすく、ほどけにくくなるのです。数十本単位なら通常の抜け毛でもあることですが、病気による脱毛、治療の副作用による脱毛はとくに一度に大量に起こります。毛乳頭を離れ毛穴にひっかかっているだけの髪の毛は、いづれ毛穴を離れてしまいます。シャンプー時に毛乳頭を離れ毛穴にひっかかっているだけの髪の毛がたくさんあれば、シャンプーマッサージの時の手の動きに合わせるように、毛穴を離れ、毛の並び方もより無秩序な状態にし、もつれが発生します。また、髪の毛は、水を吸収することで膨張し、結節力=もつれ絡む力もより強くなるように思います。
シャンプー前に取り除いてやることで、シャンプー時に毛穴を離れる髪の毛をなるべく少なくしてやることで、もつれ毛のトラブルを防ぐことができるのです。わたしの叔母は髪の毛が細かったので、余計にもつれ方がひどかったように思います。