クロアイを喰らって、惟う
10月の下旬になって、クロアイのナカツを3枚、友人に貰った。
シゴして持ってきてくれたので、湯引きにして、
3日続けて晩酌の肴。
ナカツは身も厚くクイデも充分。
春先には春先の、
夏には夏の旨さがあるが、
この頃になると、脂がのってきて、
いつもと同じさしみ醤油なのに
味が変わったかと思うほどうまい。
ツユイサキの刺身もそうだが、
この辺りの甘みのあるさしみ醤油(再仕込み醤油)は
味がしっかりした刺身にマッチしていると思う。
因みに、ホンダイ、アオリ、マイカなど、味の薄い刺身には、
食塩(アジシオ)をかけて食べると素材の甘みが増すように感じる。(私だけ?)
大阪の義兄は、初めて出雲のさしみ醤油でマルゴの刺身を食べたとき、
「甘すぎる」と言って、それ以来、出雲ではふつうのこいくち醤油を使って
刺身を食べていたが、ツユイサキとの相性には「ぜつみょーやなぁ」と舌鼓。
甘いさしみ醤油が料理好きの義兄にも認められた。
否、大阪の義兄に、ようやく
出雲のさしみ醤油の価値がわかった瞬間だった。
“ SOY ”
その後も、義兄はクロアイの湯引き、ツユイサキ、冬のマルゴなどには甘いのを使用。
その他の刺身にはニンニク醤油(ふつうの濃い口醤油にニンニクをつけこんだもの)を
かけている。もともと、このニンニク醤油は、アカミズやホンガナ、石鯛、ボッカ、メバル・・・
などなど、炙りで食べる時に好んで我が家で使っていたのを、義兄が気に入ったものだ。
友人に教えたら、友人宅でも「必須調味料」になったらしい。
ニンニクは好きだけど、仕事柄、食事に使いにくい、卑し系グルメ人~ワタクシ~は、
晩ごはんの料理のカクシ味に時々使って、ニンニクの成分を摂った達成感と、
翌日のニオイを気にしなくていい安心感で、ストレス解消、疲労回復の一助とするのだ。
(ローマ字入力で、何度も誤植した “ニンニキ” を訂正しながら・・・・・ 12/09)
「絶対的美味」って絶対ない
食べ物の好みは十人十色。
タバコなんかと一緒で、
酒はもとより、味噌、醤油の発酵食品の
好みの差はとくに大きく、
肉、魚、野菜と言った食物の好き嫌いも、
これだけ食材に溢れる生活環境においては、
食べ物全てが嗜好品という範疇にあると
私は思っている。
だから、自分が「うまぁい!」と思っても、
他人に教えはするけど、押し付けない。
逆に、他人に「絶対おいしいから」って貰ったものが、
自分にとってはそれなりレベルでも、新しい味の発見として楽しんでいる。
家族であっても、母が好きな砂糖たっぷりの甘い卵焼きは私は苦手。
甘辛く味付けた牛肉も苦手。そんなものなのだ。キコはることはない。
また、他人との比較をするまでもなく、私自身でも、例えば、マツタケもホンダイも
取り立てて好きではなく、同じ茸なら、コウタケ、シメジ、ベニタケ・・・の方がよいし、
白身の魚なら、アカミズ、カナ、ボッカ、カワハギ、フグ・・・などが食いたい。
ところが、マツタケとホンダイの鍋は取り立てて好きなのだから、不思議である。
トマトが嫌いで、ウスターソースも苦手、だけどトマトケチャップは大好き。やっぱり変。
そう言えば、私の友人の「牛乳嫌い」は、チーズたっぷりのピザが大好きで、
ヨーグルトも喰らう。ところが牛乳は飲まない。理由は、
「牛の乳なんか飲めるかァ」
そう言われると妙な説得力があるが、間違いなく変なヤツと思うのである。
現代人の味覚、食生活、好みに基準はない。
絶対はない。キコはることもない。
ああ、旨い魚が食いたくなってくる。・・・そんなときは、・・・、