5月の連休
一畑寺に行った。
私の店は、国民の休日は、休む。
5月5日は、晴天で、そよ風が心地よい日だった。
醫王山 一畑寺というのが、正式名称のようだが、
私の周辺では、
「一畑薬師」、「一畑さん」
で通用している。
漫画家の水木しげるさんともかかわり深い寺でもある。
一畑寺は、その昔(9世紀末)からあって、眼病のお薬師様、子供の成長を見守ってくださると言われて、参拝する人も多かったらしいが、子供の私には、近くにあった「一畑パーク」という名の遊園地の陰に隠れて、あまり興味がなかった。
大人になって行ってみると、なるほど、894年という昔に創建し、こんな山の上に(当時は小さいものかもしれないが)寺院を建てたというだけでも、偉業であると思う。
妻、母、わたし。3人で、門前町を通り抜け、境内へと続く小道に差し掛かると、少しひんやりとしてきて、なんとなく霊域に入ったような気になる。「こうやって、特別な結界に侵入したような感覚を演出するのだなぁ」などと考えながら、石段を上る。母を心配しながら、自身の運動不足を反省しながら、本堂前にたどり着いた。本堂に目をやると、駐車場でクルマから降りたときから聞こえていたお経は、この日、行われていた「二才児詣り」の祈祷の声だったとわかった。
「おんころころ せんだり まとうぎそわか、おんころころ せんだり まとうぎそわか、おんころころ・・・・・・」と唱えられる薬師如来の真言が、リズミカルで心地よい。読経の声に包まれて、清々しい気分のままに、境内を散策。本堂近くの休憩所で「霊茶」なるお茶を頂いて、下山の途についた。
上るときは気づかなかったが、楓の若葉が美しい。そよ風に揺られて、きらきらと輝いて、紅葉の季節よりも、私は心動かされる。
門前にある、黄色い建物の喫茶店に立ち寄った。窓から見る景色は、山並みが続く先に、宍道湖を湛え、南の山へと続く。出雲の国を切り取ったようで、たまには見に来るべき「変わらぬ風景」だと思う。
普段より時間をかけて、コーヒーを啜りながら、
「あぁ、わたしは今、
少しでも長くこの空間で過ごしたい
と思っているな。」
などと、考えていた。
此処も、ジワリと出雲を肌で感じることのできるスポットである。
令和8年5月
かつらのフセ





