四里四方(出雲弁の思い出 その④)

オカッツァン

昔ほどではないが、

八雲風穴出入り口

八雲風穴の出入り口黄泉の穴みたい

出雲地方では、

奥さん」のことを

オカッツァン」と呼ぶ地域が、

今でもある。

ワタシは就職する以前は、

あまり耳にしたことなかったが、

子供の頃、秋になるとやってくる

行商のオバサンが、

「ΟΟのオカッツァン

と言っていたような気がする。

 今では、「奥さん」が既婚女性を表す最もメジャーな言葉だが、

その昔「奥さん」というと、町なかの名家や裕福な家の既婚女性に対する尊称であったように、

オカッツァン」もそうだった。

 知人は、戦後間もない頃、大社町で働くようになったが、仕事にも慣れ、

外商に出ることになったとき、くれぐれも注意されたことがある。

それは町内の取引先の中で一件だけ、

決して『オカッツァン』と呼んではいけないところがある」ということだった。

そこだけは、お殿サンお姫サンだと言われた。

子供の私にも、なんとなく何処のことか察しがついた。

 母から聞いた話。

東京から嫁いだ知人女性は、ご主人の生まれ育った町内には、

おかつサンお勝、とか、お克お香都などなど)」という名の女性が、

沢山いるのだと思っていた。ところが、数年後、自分も「おかつサン」になっていた。

年を取ったからでしょうか」と聞かれた母は、

さぁ~?」と答えたそうだった。(8月28日)

 

 

 

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