ある晴れた冬の午後、
一人の男性が、ご来店になりました。
「ちょっとご相談があって、・・・」と言われ、
育毛のご相談課と思って、1Fの特別室でお話を伺うことにしました。
頭頂部から額の生え際にかけての薄毛、
側頭部の毛が細く弱ってきたように見えていました。
その男性はIさん、40代半ばです。
Iさん曰く、
「実は、1か月前に自毛植毛したんだけれど、
植毛したところが赤くなって、まだ産毛なもんで、・・・」
また、「植毛したところが痒くて、
夜中に手で掻いてしまうみたいです。
とくに両端が少し抜けてないですか?」
額の生え際(前額髪際と言います)から頭頂に向かって幅2センチ、
額からコメカミに向かって角になっているところ(髪際隅部と言います)に
向かって左右に長さ13センチの頭皮が赤黒くなっており、
短い毛が生えていました。
自毛植毛ではよくある炎症ですし、
頭皮に傷をつけて、その傷が回復する際には、
どうしても痒みを避けて通るわけにはいかないようで、
「大丈夫でしょうか?」
「痒みを取るにはどうしたらいいでしょうか?」
「痒みを抑えるトニックはないですか?」
などと相談にいらっしゃる方もありますが、
私どもで扱う頭皮のトラブルとは違いますので、
申し訳ありませんが、
お話を聞くだけで気の利いたアドバイスができないこともあります。
Iさんもそうなのかと思いながら、30分間いろいろなお話をしたのち、
「しばらく、カツラを着用しようかと思ってるんだけど、
僕に似合うカツラってありますか?」と言われました。
どうやら、はじめからカツラを目的にご来店なさったようでした。
既製品の女性用のカツラ(¥80,000)を
頭に合わせてみると合わせてみるとピッタリ、
Iさんも思わず、
「ウワァ~、スゲェー、こうだった。こうだった。
若いころは、こんな感じでした。」と喜んでくれました。
鏡の中に若いころの自分を発見したとき、
誰でも、気分が昂揚するものです。
多くの方に体験してもらいたいものです。
2017.3.30